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スリリングな電気自動車ドライブ(後編)


箱根湯本をレンタカーでドライブしようと、申し込んだのが電気自動車のリーフ。

きれいなブルーの車を借りたつもりだったのに、実際に用意されていたのが平凡なシルバーカラーだった。しょっぱなから旅のテンションが急降下したのだが、気をとり直して出発することに。


ところで、まず充電できる場所を確認しとかなくちゃ、と思い、レンタカー会社の人にたずねると、「カーナビの中に入っています」とのこと。

一応、その場で操作して確認すると、今晩の宿泊地である元箱根で4ヵ所ほどの充電スポットが出てきた。

その中に宿泊する「山のホテル」が入っている。

ラッキー! ここで夜の間に充電しておけば、翌日のドライブも安心と思い、心置きなく出発した。

充電用プラグのカタチが合わない事件

走行はスムーズで、パワーもそこそこある。箱根駅伝の山の神のごとく、急な坂道もぐんぐんのぼる。しかし、電気の減りが思っていたよりけっこう早い。

あと何キロ走行できるのかがメータに表示されるのだが、120㎞だったのが、またたく間に100㎞になり、80㎞になり、どんどん減っていく。

上り坂、エアコンというのが電気の減りを加速させているようだ。下り坂では弱冠充電されるが、箱根湯本から宮ノ下、強羅、早雲山、元箱根と回り、「山のホテル」に着いたときには残り30㎞になっていた。

チェックインより、とりあえず充電、充電、とホテルの人に充電場所をたずねると、

「どちらのクルマですか?」と聞かれた。

「日産のリーフです」とワタクシ。

「日産ですか……。」とやや言いよどんだ後

「もしかしたらプラグの形が違って充電できないかもしれませんけど」

「プラグの形????」

「三菱のアイ・ミーブは充電できるんですけど、日産のリーフはどうでしょう。とりあえずご案内しますから、試してみましょう」と駐車場の端にある充電器のところへ案内してくれた。

結果、ホテルの人がおっしゃる通り、プラグの形が違って充電用のコードをつなぐことができない。その人によると、ここの充電器は三菱自動車からの要請で試験的に取り付けているものだという。

「充電スポットとしてカーナビに登録されてるなんて知りませんでした」とも言った。

「じゃ、恩賜公園に行って充電するしかないかな……」

ここから最も近い充電スポットで急速充電できる場所が恩賜公園とカーナビに出ている。

私がつぶやくとホテルの人が

「あそこのは夕方5時には使えなくなるんですよ」と教えてくれた。

今はすでに6時。もう、今日は充電できない、ということなのだ。

それにしても……、怒りがふつふつとこみ上げてくる。

●カーナビに出ているのに充電できないところがあるなんて、聞いてないよ~

●プラグのカタチって統一できないの?

●アタッチメントで、どの充電器でも使えるようにするとか考えられないの?

メーカーは電気自動車の普及を本当に望んでいるのだろうか? 極めて不便なこの状況を考えると、本気で電気自動車を普及させようと思っているとは考えにくい。

明日は朝飯前の早朝に、芦ノ湖スカイラインをドライブするつもりだった。

なぜならこの時期、富士山が見える確率は極めて低く、気温の低い早朝でないとその姿を拝むのはむつかしいのだ。

しかし残っている充電量は30㎞分。実際に走れる距離は、それよりもっと少ないことが今日半日の走行で十分に分かった。この残量で芦ノ湖スカイラインの走行は無理だ。

恩賜公園パーキングの情報をネットで検索してみると、朝は7時からのようだ。

とにかく朝一番で恩賜公園にいくことにして、今日はもうゆっくりすることに。

怒ったらお腹がすいてきた。いや、お腹がすいているからこんなに腹がたつのか。

どっちでもいいけど、充電の件は一旦忘れて、お腹を満たすため、歩いて芦ノ湖畔のピッツァリアに出かけた。

スパークリングワインでのどを潤し、地モノ野菜を使ったフリットやバーニャカウダ、もちもち、こんがりの窯焼きピッツァを食べたら、車のことはすっかり忘れてご機嫌に。

しめにホテルのバーで一杯やって、ベッドにダイブ。

芦ノ湖スカイラインで泣く泣くUターン

翌朝、6時。ホテルの部屋の窓から空を見上げていると、うっすらと富士山の姿が浮かび上がった。

よし、このチャンスをのがしたら、きっと富士山はまた雲の中に隠れてしまう。

とりあえず残りの充電で行けるとこまで行ってみようと思いたち、車を走らせることに。

ホテルを出発して箱根峠ICから芦ノ湖スカイラインに入ると、正面にうっすらと富士山が浮かび上がった。

ヨシ!!と思ったけど充電の残りはすでに20kmに。これ以上進むと確実に電気が空っぽになり、JAFを呼ぶハメになる。そんな勇気はなく、ちょい先でUターン。

芦ノ湖スカイラインの通行料は片道600円。入るとき通行料600円を支払い、いくらも走っていないのに出るときまた600円支払うことに。トホホである。

恩賜公園のパーキングが7時からなので、とにかく充電!すぐに充電!と思い、向かった。

パーキングのバーがあいて、充電スポットに車を止める。

しかし充電機のそばに着いてはじめてわかったのだか、朝8時半になって、係の人が来ないとこの充電器は使えないのだ。時計の針はまだ7時10分。一旦ホテルに帰って、出直しである。

朝から、思うにまかせない状況が続く。なんだか疲れる~。電気自動車にエネルギーをどんどん吸い取られていくようだ。

ホテルで朝ごはんをすませ、シャワーなどを浴び、10時近くになって再び恩賜公園へ。

今度は無事充電することができた。急速充電でかかった時間は約30分。待っている間、公園を散策したが、ギラギラ太陽に焼かれ、暑くてへばった。

30分後に戻り、公園の係の人に「電気の減りが思っていたより早いし、充電が思うようにできなくて、ヒヤヒヤしました」と話すと

「ここに来られる方は、そう言う人が多いですね」とのこと。やっぱり、そうだよね。

バッテリーは100%充電すると負担がかかるとかで、80%充電までしかできなかった。それって、どういうこと? この自動車まだ開発途中なんじゃないの?? こんなの世間に出していいの??

それにしてもここにある充電器はたった1台。もし、先客がいたら30分待ちどころじゃなくなってしまう。ガソリンだったら、給油にかかる時間はせいぜい10分といったところ。時間を有効に使いたいドライブ旅行に電気自動車という選択は、ハナから間違っていたことを実感した。

やっとの思いで充電は終了したが、その後富士山が再び姿を現すことはなく、富士山に向かって疾走するという計画は打ち砕かれた。

レンタカーは夕方6時まで借りる予定をしていたが、早々に切り上げて3時には返却。

車を返すとき、レンタカー会社の人に「カーナビの充電スポットに出てる『山のホテル』で充電しようと思ったのに、できなかったよ」と言うと

「そうでしたか。充電できる、できないをすべて確かめていたわけではないので、はじめて聞きました」との答え。メーカーによってプラグの形が異なるのも、知らなかったようだ。

電気自動車はまだまだインフラが整備されていない。情報も不足している。本当にこれから広めていきたいと思っているのか、うたがわしい限りだ。

今回のようなドライブで使うにはまったく不適切な車だった。

現状ではママチャリ替わりに、近所のお買い物に行くのに使うのが、せいぜいではないだろうか。いやいや、「いつ電気がなくなるか~」とドキドキしながらスリルを味わいたい人には、おすすめのクルマかもしれない。

(二宮つゆか)

三井のカーシェア カレコ・カーシェアリングクラブ

 

 

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