岩手・安比八幡平の食の宿「四季館 彩冬」は、ほっこり和めるグルメ宿(後編)

岩手・安比八幡平の食の宿「四季館 彩冬」滞在の話のつづき

前編はこちらから。

まずはスタンダードグルメプランのディナーからご紹介しよう。

スターターはこんな感じ。食前酒に梅酒。先付けにみずの実(右上の小鉢)。酢物はアロエポン酢。

お造りはマグロ、カンパチ、甘海老で、特にめずらしいものはないが、赤身のマグロがなかなか美味だ。

白い四角い皿が前菜で、ほやの塩辛、うなぎ新丈、蛸のカプレーゼ、枝豆新丈など。

先付け、酢の物、前菜、お造りでスタート

 

今回、初めて食べたのがミズという山菜の茎にできる実。シャクシャクとした食感がいい。

そしてほやの塩辛。

みずの実

ほやの塩辛

 

 

 

 

 

 

 

ミズダコにチーズ、ミニトマト、そしてズンダ(枝豆をピューレにしたもの)がかかった「蛸のカプレーゼ」は、ちょっと洒落た創作的な料理。

アロエポン酢は、とろんとした食感とさっぱりした味わい。

蛸のカプレーゼ

アロエポン酢

 

 

 

 

 

 

キンと冷えた生ビールとともにこれらの料理を楽しんだ後、セレクトしたメインコースの3品が始まる。

ここで一旦、空いた器を下げてもらうのだが、食前酒の梅酒に手をつけていないのに気がついたサービス係の女性が「いかがいたしましょう?」と聞くので、「食後にいただこうと思って置いてあるの」と答えると、「それじゃ、冷やしておきますね」と言って下げてくれた。

なんと気のきくこと。しかも、そういうことを、さも普通という感じで、さりげなくやってくれるのが素敵だ。

次はいよいよ、選んだメイン料理のひとつ、殻付きウニの登場だ。東北の地酒がラインナップされたお酒のリストの中から、大好きな日本酒「豊盃」を選んでオーダー。

 

 

どこのウニかと尋ねると、青森、大間産だという。青森の日本酒を合わせて正解!と密かに自己満足。

スプーンですくいとり、口へ運ぶ。ミョウバンを使わないウニは、甘くて、とてもやさしい味わい。思わず笑みが浮かぶ。

 

さて、次に登場したのはアワビの陶板焼き。アワビは小ぶりだが、鍋の蓋側にぴったり張りつくくらいに元気。

先ほどのサービスの方が、アワビを蓋の裏からはがし取り、陶板の上の正しい位置に。それを固形燃料が燃え尽きるまで、蒸し焼きにする。

(蒸しあがりは、食べることに夢中になったので、写真を撮るのを忘れた。で、写真は宿よりお借りした。)

 

アワビの陶板焼き。写真提供/四季の館 彩冬

 

コース料理の冷やし鉢、吸い物、焼き物が続き、前沢牛のサーロインステーキへ進む。

冷やし鉢

 

ところで、この前沢牛のステーキを食べるに際し、飲み物をどうしようかと考えた。実は赤ワインが飲みたかったのだが、メニューにはグラスワインというものがない。

食事もすでに後半へ突入。この段階からワインを一人で一本オーダーしても飲みきれない。

はて、どうしたものかと思案していると、先ほどのサービス係の女性が、瓶に少々残っている豊盃を見て、「これをお燗にしましょうか。香りがふくよかになって、また違った味わいが楽しめますよ」と提案してくれた。

なんて素敵なアイデア。「じゃ、それでお願いします」と言ったところ、ひと肌にお燗された酒が、美しい朱色の片口に入って再登場した。

うれしい〜。飲んべえは、こういう気遣いにイチコロである。

燗酒で再登場した豊盃

 

そしてA5等級という前沢牛のステーキ。「前沢牛ちゃ〜ん、お久しぶり〜」と心の中で語りかけながら、鉄板で焼く。by my self

前沢牛のサーロインステーキ

 

 

お肉用にと山葡萄の塩などが添えられていたが、私はワサビをお願いして、脂身の甘みをひきたてて味わった。付け合わせの根曲がり竹もジャガイモも、ぬかりなく美味。

〆にはおにぎり茶漬け。ポリポリのあられが香ばしく、三つ葉の香りも清々しい。

おにぎり茶漬け

 

パンナコッタのデザートが出て、めくるめく、一人宴が終了した。

あ、そうそう。デザートのタイミングで、一旦下げてもらった梅酒も忘れられずに再登場。食後酒として、きっちりいただいた。

このディナー時のスタッフの方の接客で、私はいっぺんに「彩冬」のファンになった。

宴の後は、再び温泉に入って、ライブラリーで借りてきた「シェフ 三ツ星フードトラック始めました」というDVDを、うだうだ横になりながら見て就寝。

 

そして、一夜明けて朝食である。

昨夜はあんなにご馳走を食べたのに、朝起きたらすでにお腹が空いている。眠る前にゆっくり入った温泉の効能か、すこぶる体調がいい。

もちろん朝食前にも、露天風呂を楽しんだ。

 

朝食は好きなものを好きなだけ、というビュッフェスタイルだが、その充実度が半端ない。

朝食会場

 

朝の光がたっぷり入る朝食会場。入り口すぐのところには、小さな囲炉裏があり、地元八幡平の天然きのこと野菜のダシが味わい深い「山のきのこ鍋」が、湯気をあげている。炭火のまわりには、そば粉を練った団子に自家製くるみ味噌をのせて焼いた「そば餅炭火焼」、ひと口サイズのきりたんぽも香ばしい香りをあげている。

炭火の入った小さな囲炉裏

 

ご飯は、減農薬栽培で育てられた岩手県産「ひとめぼれ」、地元八幡平で育てられた古代米・あわ・ひえ・麦、ふすまをブレンドした「五種の雑穀米」、「生ゆばと竹の子のトロトロおかゆ」の3種が用意されている。

 

ご飯の先には、イカの塩辛、特製醤油だれに漬け込んだ岩手県産いくら、漬物、タラコなど、ご飯のお供が並んでいる。数量限定の希少な「ルーデンス農場のむかし卵」は、黄身の色がレモンイエローなのだそうだ。「エゴマ醤油と合わせるのがおすすめです」と書いてある。

 

 

 

 

焼き鮭に昆布やひじきの煮物、ワラビのお浸し、岩手短角入り野菜炒め、厚焼き卵、ポテトサラダ、蒸し野菜、ほうれん草のお浸し、ご近所のお豆腐屋さん「ふうせつ花」のうわずみ豆腐などなど、書ききれないほどの種類のおかずが並んでいる。どんな素材が使われているのか、ひとつひとつこだわりが解説されているのも楽しい。

 

 

フレッシュフルーツも用意されている。

何を食べようかと迷いながら、チョイスして作ったmy和定食が、こんな感じ。

my朝定食のできあがり

 

少しずついろんなものを食べるのもいいけれど、大胆に、イクラたっぷりのハラコ飯を自分で作っちゃうのもオススメ。

 

 

炊きたてピカピカのご飯に、つやつやのイクラ。自分至上最高の朝食に出会えた!かも、と感動した朝だった。

 

今回の滞在は、エコノミー客室に宿泊し、スタンダードグルメプランを組み合わせて、平日1泊2食付きで15,150円(ビールと日本酒は別途1,980円)だった。

正直な話、高級な食材で高級な料理を出す宿は、いくらでもある。でも、土地の食材にこだわり、この価格でこれだけのものが食べられる宿は稀有なのではないか。

食事もいいが、マニュアル的でない、ほっこりと気持ちのよいサービスもポイントが高い。

 

11時5分盛岡行きの電車に合わせて駅まで送ってもらい、ご機嫌で帰路についたのだが、気ままな一人お泊まり、ちょっとクセになっちゃうかもデス。

 

(リポート/土井ゆう子)

 

4 Comments

  1. nobuko

    (@@;)すごーい!ものすごいコスパと心配りデスネ!
    これは行きたい。八幡平に行くことがあったらここに泊まりたい。その時は連泊して朝ごはん肴に朝酒したいです!

  2. kaoru

    何ここ~!カンペキじゃない!お料理の出し方も盛り付けも、内容も、そして何よりサービスが素敵!マニュアル重視の高級旅館に泊まるより、ほどほどの値段で幸せな気持ちになれる宿が何よりだよね。夕ご飯もだけど、朝ごはん食べにいきたい~。ご飯3種、いくら食べ放題、スムージーもあって、きりたんぽもって充実過ぎです。

  3. YUKO

    nobukoさん。
    そうそう行く機会はないかもしれない八幡平ですが、私もリピートしたい宿です。連泊して朝酒・・・は思い浮かばなかったなぁ〜。
    それもいいかも。

  4. YUKO

    kaoruさん
    高いお部屋に宿泊したら、もちろんあのお値段では宿泊できないですけど、相対的にリーズナブルですよね。ほんと、朝ごはんおいしかったよ。
    取材で高級宿はけっこう行ったけど、自腹で行った宿が大ヒットだったので、なおうれしいです。

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