ニューヨーク植物園での ” 蘭ショー”(1)

ニューヨーク市はマンハッタン、ブロンクス、ブルックリン、クイーンズにステットン・アイランドの5つの区から成り立っている。マンハッタン区のすぐ北側に隣接するのがブロンクス区。ブロンクスと聞くと、ハーレムよりも犯罪の多い危険地域というイメージが強いが、そんなブロンクスにあるニューヨーク植物園では、世界的にも豪華さで有名な蘭のショーが毎年開かれ、今年で11回目を迎えている。

 

 

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ニューヨーク植物園は鋼鉄王と呼ばれたアンドリュー・カーネギーが、ロンドンの王室植物園を訪れた後、米国にも立派な植物園の必要性を痛感し、莫大な資金を援助し、コロンビア大学の植物学教授が、当時は森林地帯だったブロンクスを候補地に選び、1891年に設立された。現在では犯罪多発地帯のブロンクスも、1920年代、禁酒法時代になる以前は優雅な住宅地だった。

ニューヨーク植物園は現在では世界的にも先端的な植物学研究所を持ち、年間をとおし、様々な催しが開催されるので、年間80万人が訪れるという。

 

IMG_1784 約100ヘクタールの広い敷地内に、ビクトリア朝スタイルのガラス製の米国最大の温室「Enid A. Haupt Conservatory」がある。この大温室内が熱帯雨林に変身し、何千もの蘭が自然に近い状態で元気に花を咲かせている。 この温室に名前が付けられているEnid A. Haupt女史は、2005年に99歳で亡くなったが、出版事業で巨大な富を築いたAnnenberg家に生まれ、彼女自身も雑誌「Seventeen」の出版に携わった人だ。園芸に造詣が深く、他にも芸術、歴史的建築物保存、癌研究に多大な資金援助を行った女史の功績を称え、この大温室に女史の名前が付けられているという。

 

蘭は極寒の地を除き、世界中至るところで生育し、原種の蘭だけでも3万種あり、人工的に交配された蘭にいたっては15万種もあるらしい。ニューヨーク植物園ではそのうち7000種の蘭が育てられている。

 

 

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蘭の品評会はアメリカでもたくさん開催されるが、多くの場合、蘭の鉢が単に陳列されているだけの事が多い。ニューヨーク植物園の「蘭ショー」が有名なのは、展示される蘭の花の数の多さだけでなく、毎年、テーマに沿って、主役の蘭の花たちが演出家によりステージにたつ、文字どおりの「ショー」なのである。

 

 

2013年の「蘭ショー」は、大温室管理と展示会運営に30年以上も関わり、蘭の花を知り尽くしているベテラン、Francisca P. Coelhoさんにより展示デザインがされた。今年は熱帯雨林で咲く蘭の自然な形態を見せることにショーの主眼がおかれた。その為の舞台装置を作り出すためにユニークなアイデアを採用した。 昨年の10月末にニュージャージ州、ニューヨーク州に多大な被害をもたらした「ハリケーン・サンデイ」。ニューヨーク植物園でもハリケーンの為に300本ほどの樹木を失ってしまった。Coelho女史はこれらの倒れて切られた木々を、彼女が温室内に創造する熱帯雨林の一部に使用したのである。無念にもハリケーンでなぎ倒された樹木が新たな役割を得て、樹木や岩肌に根を張り付かせて生育する着生蘭や、蘭の他にも木に生息する植物の格好の温床になったというわけだ。

 

 

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2013年の「蘭ショー」はテイファニーのような企業を中心に、ニューヨークの名だたる富豪たちがこの蘭展示会のスポンサーに名を連ねている。それらのスポンサーに加え、「蘭ショー」開幕に先立ち、マンハッタンの高級ホテルで開かれた募金目的の晩餐会には、多くの蘭愛好家、社交界の名士、淑女が出席し、植物園側が用意したエキゾチックで珍しい蘭の鉢があっという間に完売し、約6千万円がニューヨーク植物園の蘭研究資金として集まったとか。蘭の花の為にはお金に糸目をつけない人がたくさんいるんですね〜。 (2)に続く。

(スナイダー純子)

 

 


2 Comments

  1. junko

    卯の花さん、地図を載せられなかったんですが、ご勘弁を!NY植物園は「蘭ショー」だけでなく、菊の展覧会もあるんですよ。よく植物園に行く友人の話では、近くに昔からイタリア人がたくさん住んでいる通りがあって、美味しいレストランや食材のお店がたくさんあるとか。ブロンクスのイメージが悪く、いつも植物園に行く以外、あまり周辺を探索しませんでしたが、今度、探索してみようと思います。

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