オーロラを見損ねたアイスランドの旅 3

  • 2013/5/9

アイスランド滞在2日目。強風で雨まじりの天気。アイスランドの天気は15分で急変するというガイドのロンさんの言葉を信じ、天気が好転することを願いつつ、オーロラを求めての旅が始まった。

 

シンクトヴェトリル国立公園はレイキャヴィクの北東50キロにあり、世界遺産にも登録されている。ここは歴史的には世界最初の民主議会「アルシング」が930年に開かれた場所としても有名だ。ちなみにシンクトヴェトリルとは「議会平原」の意味だとか。

 

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(左)上かたら見た地球の割れ目。向こう側は北米大陸、手前はユーラシア大陸

(右)地球の割れ目を歩く。左側が北米大陸、右がユーラシア大陸

 

 

私にとっては、ここは北アメリカ大陸とユーラシア大陸がぶつかる場所として訪れてみたいと思っていた。アイスランドで「ギャウ」と呼ばれる地球の割れ目がここで見られる。説明によると、アイスランドは海嶺が地表に乗り上げている世界でも珍しい場所で、この地球の割れ目がアイスランドのほぼ中央を南北に貫いているという。二つの大陸がぶつかった境い目を歩き、右側がユーラシア大陸、左が北アメリカ大陸だと聞かされた時、何とも言えず、雄大な気分になった。地球は今も動いていて、アイスランドの国土は年に2、3cmほど広がり続けているとか。

 

間欠泉のことを英語では「Geyser (ガイザー)」と言う。その語源になったのがアイスランドの地名である「Geysir (ゲイシール)」。

 

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このあたりではあちらこちらで温泉が涌き出し、間欠泉も見られる。私達が見たストロックル間欠泉は30mほどの高さで、5−6分おきに噴出している。「なんだ、イエローストーンの間欠泉に比べると随分小規模じゃないか!」と思ったら、60mの高さにまで噴出する「大ゲイシール」と呼ばれる間欠泉があるのだそうだ。残念ながら、この大間欠泉は、今は1日に1回の噴出だけとかで、残念ながら、見ることはできなかった。

 

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                 ストロックル間欠泉

 

 

 

この「ゲイシール」でランチ。グリーンサラダにポタージュスープの後、肉か魚の選択。私はクリーミーなハーブソースのかかった白身魚のグリル。夫はラムのローストが気に入ったようだ。付け合わせはポテトというシンプルな料理だが、美味しかった。アイスランドの羊は野生のタイムを食べて育っているとかで、美味しいラム料理になるようだ。

 

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(左)野生のタイムで育ったラムは美味しい!

(右)白身の魚のソテーに香草のソース

 

 

 

バスが次に止まったのは「黄金の滝」という意味のグトルフォスだった。氷河の溶けた水が流れ落ち、晴れた日には虹がかかり黄金色に輝くことから名付けられたという。ナイヤガラの滝の大きさには及ばないが、それでも豪快に水煙があがっている。滝の近くの岩場まで道が続くが、冬場は危険な為、行く事が出来ない。周り一帯、黒っぽい大地の中で、青く見える河の色と水煙の白い色のコントラストが、自然の雄大さを強調しているように思えた。

 

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                     グトルフォス滝

 

 

次に訪れたのもセーリャントスフォスという名の滝だった。この滝が流れ落ちる落差は60m。それを下から眺めると、滝の迫力に圧倒されてしまう。風は相変わらず強い上に、大滝からのしぶきで雨の中で見物している気分。水しぶきで滑りやすくなっている小道をよじ登り、強風に吹き飛ばされそうになりながら、滝の裏側に廻ってみる。洞窟の中から見る滝の強烈さ。アイスランドでは文明の起源ではなく、地球の創世期を想像させる光景にぶつかる事が多い。滝の周りの断崖絶壁には、Fulmarと呼ばれるカモメに似た海鳥が何百羽と巣を作っている。天気が悪く、海がはっきり見えなかったが、この大滝は海岸に近く、魚を餌に、この断崖に住みついているそうだ。

 

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(左)セーリャントスフォス滝の落差は60m

(右)アイスランド冬の旅にはレインコートと長靴は必需品

 

 

 

更にアイスランド南東部への旅は続き、スカフタフェットル国立公園に入っていった。

スカフタフェットル国立公園は、アイスランド最大の大氷河であるヴァトナヨークト氷河に、大火口群であるラーカギーガル (ラキ火山)を含む広大な国立公園だ。

ここに来れば、アイスランドの自然の象徴である火山と氷河の景観を一緒に見られるというわけだ。国立公園の入り口のサインなど、全く無い。黒い大地に川が好き勝手な方向に蛇行して流れる景色以外は何もなく、地平線まで続いているのかと錯覚を覚えそうな1本道の国道を、バスはひたすら走る続けている。黒い砂州のあちらこちら、蛇行して川が流れているのは、かつて、大洪水があった証拠なのだ

 

IMG_2635アイスランドの氷河の多くは、火山を覆うようにして存在している。氷河の下で火山活動が起きると、溶けた水が氷河湖決壊の大洪水を引き起こす。この氷河湖決壊による大洪水の映像を見たが、洪水による破壊力の凄まじさに思わず息を飲み、東日本大震災での大津波の映像とダブったほどの大きな衝撃を受けた。

 

好き勝手に蛇行して流れる川

 

 

黒い大地にどんよりとした鉛色の空。色彩の無い地帯をバスはひたすら走り続ける。こんな風景ばかりをバスの窓から眺めていた私は、突然、大空間に閉じ込められている気分になり、不安な気分が増幅してきた。本来、私は閉所と暗闇恐怖症気味なのである。太陽さえ、ちょっと顔を出してくれれば、不安感は無くなるのだが、その可能性は全くなさそうだ。次の目的地に1分でも早く着いてくれることを一人祈っていた。

 

ちょっとここで気分転換。旅の途中で見つけたアイスランドのお菓子です。

 

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バスはようやく黒いだけの大地から色彩のある地帯に入っていった

色彩といっても緑褐色だ。このあたりも地平線までも続くような溶岩大地が苔に覆われているのだ。この暗緑色の溶岩大地を少し歩き回れることになった。相変わらず、空はどんよりし、雨混じりだが、新鮮な外の空気を吸って、私の不安感は減少した。雨に濡れた苔が美しい。思わず苔に触ってみた。なんてぶ厚い苔なのだろう。指を突っ込むとズブリと指の根元まで入ってしまったほどだ。一面の苔とは言っても、日本の苔寺で感じる「侘び」の世界にはほど遠い。むしろ、恐竜が歩き回るような太古の世界はこんな感じだったのだろうか。丈の高い植物は何もない。いつも風の強い溶岩大地では木が大きく育たないからだそうだ。

 

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今夜泊まるLaki Hotelを目指し、バスは広大な溶岩大地を再び走り続けた。夕方という時間ではないのに、あたりは夕闇に包まれ始めている。おまけに天気も悪いからよけいに暗い。バスの窓からはあたり一帯に灯りが一つも見えない。今まで、こういう場所に行きたくなくて、天文学オタク達との旅行には参加したことがなかったのだ。天文マニアにとっては、灯りは天文観察にとって邪魔なものでしかないので、目的地はいつも灯りの少ない場所ばかり。私にとって、唯一の心の依り所はバスの車内灯。その車内灯も「運が良ければオーロラが見えるかもしれませんから、車内灯を消しま〜す!」と、ガイドの一言で消され、文字通りのまっ暗闇の世界になった時には、パニックを起こしそうになってしまったほどだ。私の気配を察した夫がi-phoneの灯りをつけてくれ、気が紛れるように i-podで一人音楽が聞けるようにしてくれたが、温泉の言葉にひっかかり、天文マニアとの旅行に出たことをあの時ほど悔やんだことはなかった。結局、雨混じりの夕方、いくら車内灯を消し、あたりを暗くしてもオーロラなんて見えるはずは無かったのに…..。 (続く)

(スナイダー純子)

 

 


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