オーロラを見損ねたアイスランドの旅 1

  • 2013/5/9

2月にアイスランドに出かけると友人達に言ったら、同情的な声で「十分に暖かい服装で!」とか、もっと露骨に「2月にわざわざアイスランド?」とか、変人扱いをされてしまった。普通はそう思いますよね〜。星や太陽観察大好き人間の夫から、2月のアイスランド旅行に一緒に来る気があるかと、聞かれた時には同じことを思ってしまったもの。

オーロラを見たいと思っている夫曰く、オーロラは冬によく見え、アイスランドの2月はアラスカやカナダの厳寒ではなく、ニューヨーク並みの寒さ。飛行機で5時間足らずの距離だし、火山島だから温泉にも入れる。だから2月のアイスランド行きなのだそうだ。夫ほどオーロラには興味の無い私が、最後の「温泉」にも入れるとの一言で、ついアイスランド行きを承諾してしまった。

 

ニューヨーク発、アイスランドの首都、レイキャヴィク行きの夕方便は満席だった。夜の8時にJFKを発つと、レイキャヴィクに朝7時に到着する。ニューヨークでは朝7時なら明るくなっているが、レイキャヴィクはまだまっ暗だ。

 

アイスランド、正式にはアイスランド共和国は北海道と四国を合わせたほどの島である。世界地図を見ると英国のずーっと北側に位置している。ノルウィー、スウェーデン北部と同緯度で、国土の一部は北極圏にかかっている。しかし、メキシコ暖流のお陰で、フィンランドやスウェーデン北部の冬の気温に比べると遥かに暖かく、ニューヨーク並の2月の寒さだと言った夫の言葉は正しい。アイスランドは高緯度に位置する為に、オーロラを地上から観察するのに適した、最も暖かい場所なのである。

 

私達は夫の愛読雑誌「Astronomy」企画の「オーロラ観測のアイスランドの旅」に参加したというわけだ。空港からレイキャヴィクまでほぼ1時間の距離。途中で朝食をとり、ブルー・ラグーンの温泉で旅の疲れを癒し、ホテルにチェック・インとのスケジュール。お天気は悪いけれど、温泉と聞き、期待感が高まってきた。

 

朝食を食べながらの自己紹介では、何人かの人がオーロラ観察を「スピリチュアルな体験」と考えている事を聞き、温泉目的で参加した私は、チョッピリ、ばつの悪い思いがした。朝食が終りかけた頃、ようやく空が明るみ始めていた。時計をみるともう9時だった。

 

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ブルー・ラグーン(青い潟湖)は世界的に知られている温泉施設だ。競泳用50mプールが4個分という広さで、露天風呂としては世界最大の大きさ。温泉とは言っても自然に湧き出る天然温泉ではなく、隣接するスヴァルツエンギ地熱発電所が汲み上げた地下熱水の排水を再利用した人工温泉だ。それでもあたり一帯はゴツゴツした溶岩台地なので、その景観をうまく活かし、超巨大な岩風呂になっている。

ブルー・ラグーンと呼ばれるように、青い乳白色の温泉の色と黒い溶岩の色の対比が美しい。豊富なミネラルを含んだお湯は皮膚疾患に効果があるとかで、ここにはクリニックもスパもあり、ここで作られるスキンケア製品はアイスランド土産として人気が高いらしい。

 

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ハイテクなロッカーで水着に着替え、貸してくれるタオルで体を包み、大急ぎで温泉に入る。さすがに2月の空気は水着姿には寒い。

温泉は全体的に浅く、深い所で1.5mほど。ちょっとぬるめの湯加減だ。温泉の真ん中あたり、湯気がモウモウ立つあたりに行ってみると、日本の温泉に入っている熱さになってきた。70度以上の熱水を38度ほどに温度調節しているとのこと。

温泉の所々に沈殿物の白い泥が入った壷が置かれていて、男女関係なく、顔や体に塗り付けているので、私も顔に塗ってみる。しばらくすると顔がバリバリになってきた。白塗りの顔があちらこちらで気持ち良さそうに温泉につかっている。私も白塗りなのを忘れ、夫の白塗りの顔を見て吹き出してしまった。

ここにアイスランド滞在中、ずーっと泊まっていたいと思い始めたら、予定時間の1時間40分が過ぎ、温泉から出なければいけない時間になってしまった。温泉に入れるからって聞いたからこそのアイスランド旅行。それがたったの2時間弱の入浴時間!後ろ髪を引かれる思いでブルー・ラグーンを後にした。

 

レイキャヴィクを見渡せる小高い丘の上のドーム型の建物「ペルトラン」で昼食。このドームに近隣の地熱発電所から送られてくる熱水が貯蔵され、レイキャヴィク全体にお湯が配給されるシステムだとか。アイスランド語で「真珠」を意味する「ペルトラン」にはレストランやショップ、アイスランドの歴史を鑞人形で再現した博物館もあり、賑わっていた。強風にあおられながら展望台から見た首都は、高層建築がほとんど無い田舎町の印象を受けた。でも赤い屋根の家が多く、雪を抱いた山が見える北国の町ではあっても寒々した風景ではなかった。

 

 

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IMG_2484昼食後、ハットルグリスム教会にバスで立ち寄る。この教会はペルトランの展望台からレイキャヴィクを一望した時、唯一見えた高層建築だった。天をあおぐようにして建つ、コンクリート打ちっぱなしのような白っぽい外観はスペースシャトル的でもあり、パイプオルガンの形のようにも見える。ヨーロッパ諸国で飾りの多い外観の教会を見慣れた目には、余計な物を一切排除した、なんともストイックな雰囲気を漂わせた教会に見えた。教会内も外見同様にシンプルで、ステンレスの巨大なパイプオルガンだけが目につく。エレベーターで教会の展望台に上がれるらしいが、あまりの強風に誰も展望台には上がろうとは思わず、早々とバスに戻ってしまった。(続く)

(スナイダー純子)

 

 

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