ほっとくつろげる場所「自由学園明日館」

東京北部に住む私は、どこに行くのにも池袋経由となるのだが、池袋というのは、昔から、雑多な印象がぬぐいきれない場所だ。

 

西口に東武、ルミネ、東口に西武、パルコ、西口五差路に丸井。ヤマダ電機にビックカメラ、サンシャインや東京芸術劇場と、東西南北に大型ビルが乱立。飲食店の数もおびただしく、ラーメン店激戦区でもある。

作家、石田衣良が「池袋ウェストゲートパーク」という小説を出したあたりから、若者たちが集まり始め、賑々しさとディープさに一層拍車がかかったように思う。

 

なかでも北口周辺は、怖いもの知らずのおばさんになった私でさえも、夜一人では近づけないエリアだ。ミニ中華街として有名だが、チャイナだけでなくタイやベトナムなど、東南アジア系の外国人もウロウロしている。

今だにロマンポルノ映画館があり、いかがわしい商売をしている人も多そうだ。

「ないものはない」と思えるほど、ごちゃごちゃザワザワした池袋だが、その一角に、私のお気に入りの場所がある。

 

「自由学園明日館 (みょうにちかん)

 

JR池袋駅を立教大学方面に出て、ホテルメトロポリタンの先の住宅街の路地をちょっと進んで角を曲がると、それは現れる。

メトロポリタン口から徒歩5分という近さ。

 

明日館

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「えっ、こんなところにこんな建物が?」と、初めて訪れる同行者がみな声をあげるほど、雰囲気は一変し、のどかな空気に包まれる。建物の向かいには出版社「婦人之友社」がある。

重文指定の「自由学園明日館」は、「動態保存」という、一般に公開し、建物を貸し出し、使用しながら保存するという形態をとっている。

冬は、まだ寒々しいが、春から先は、芝生の緑が青々として、緑青の屋根とマッチして美しい。

 

 

明日館 (2)

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

シンメトリーのゆったりした設計とステンドグラス風の大きな窓が特徴の建物は、スタッフにより今も美しく維持管理されている。毎朝30分、館内の掃除からスタートするそうだが、ガイドさんによると、特に窓拭きが大変なのだそう。そんなピカピカの窓を眺めているだけでも心が洗われるような気がする。

 

「自由学園明日館」は、1921年(大正10)、羽仁吉一、もと子夫妻によって誕生した女学校。(羽仁進は、もと子の孫にあたる)

 

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羽仁夫妻  Copyright(C) Jiyugakuen Myonichikan

 

 

 

建物を設計したのは、アメリカが生んだ建築家の巨匠、フランク・ロイド・ライト(Frank Lloyd Wright)。日本では、旧帝国ホテルの設計者として名を知られ、母国アメリカの代表作に、カウフマン邸(落水荘)、グッゲンハイム美術館などがある。

 

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フランク・ロイド・ライト  Courtesy the Frank Lloyd Wright Archives,Taliesin West, Scottsdale, Arizona.

 

 

 

 

HPより抜粋

『明日館建設にあたり羽仁夫妻にライトを推薦したのは遠藤新(えんどうあらた)。帝国ホテル設計のため来日していたライトの助手を勤めていた遠藤は、友人でもある羽仁夫妻をライトに引きあわせました。夫妻の目指す教育理念に共鳴したライトは、「簡素な外形のなかにすぐれた思いを充たしめたい」という夫妻の希いを基調とし、自由学園を設計しました。

自由学園明日館は、1923年の関東大震災、第二次世界大戦による戦災からも免れ、今日まで維持されてきましたが、80年の歳月を経て、老朽化による雨漏りや壁・天井の剥落等が目立ち、さらに構造上の問題も著しく顕れてきました。そのため1997年の重要文化財指定を機に、1999年から約3年間にわたって保存修理工事が行なわれました。』

 

創設者の羽仁吉一は、報知新聞社の政治記者。もと子は校正係りとして入社し、二人は社内結婚をする。当時、社内結婚する人は、きわめて珍しかったとか。

 

『1903年、二人は新婚生活の中から題材を得て、婦人誌『家庭之友』(『婦人之友』の前身)を創刊し、数年後、独立して婦人之友社を設立しました。雑誌を通じて、古いしきたりにとらわれていた女性たちに、自分の才覚で家を切り盛りする知恵と勇気を与えました。
1921年(大正10)、もと子と吉一は、知識の詰込みではない、新しい教育を実現するため、自由学園を創立しました。生徒に自ら昼食を調理させるなど生活と結びついた教育はまさに大正デモクラシー期における自由教育運動の象徴と言えましょう。』

 

「自由学園」の教育方針は、生活重視。

掃除も料理も裁縫も、生活に関わることはすべて生徒たちでやり、生きる術と自立心を身につけていく。

女性の自立が難しい時代に、羽仁夫妻は、最先端の考え方を実践していたんですね。

 

 

o0800045012438984203[1] 食堂照明

 

 

 

 

 

 

 

 

 

食堂の照明は吊り下げ式。椅子やテーブルなど家具はすべてオリジナルだ。

 

 

テーブルと椅子

 

 

 

 

 

 

 

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訪ねたのが、ひな祭り前だったので、木の棚にお雛様が飾られていた。ひな壇ではないけれど、こんな演出もステキ。

 

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離れの講堂では結婚式をはじめ、セミナーやライブなどさまざまなイベントが開催されている。CM撮影に利用されることも多く、時どき、「あっ、明日館だ」と思えるシーンを見かけることも。

去年は、このこじんまりとした講堂で、福山雅治さんのライブがあったとか。大ホールのライブはちょっと苦手だけど、こんなところなら、行ってみたかったなぁ!

 

女学生が朝礼をしていた場所「ラウンジホール」は、喫茶室になっていて、天井までの大きな窓と吹き抜け天井が気持ちいい。

 

ラウンジホール

喫茶ホール窓

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

飲み物は、コーヒーか紅茶か選べ、手作りの焼き菓子がつきます。

 

 

 

 

夜間見学もあり、なんと「お酒つき見学」なのです。

ライトアップされた建物もまたステキです。

4月には、桜見学も催されるとか。

興味ある方は、ぜひ訪ねてみてくださいね。

 

「自由学園明日館」

http://www.jiyu.jp/

 

地図

http://www.jiyu.jp/kanren/contact.html

<料金>

見学のみ400円、喫茶つき見学600円。

夜間のお酒つき見学 1000円。※価格は全て税込み

 

時 間: 10:00~16:00(15:30までの入館)

◆夜間見学 毎月第3金曜日

18:00~21:00(20:30までの入館)

◆休日見学◆

10:00~17:00(16:30までの入館)

 

休館日: 毎週月曜日(月曜日が祝日または振替休日の場合は、その翌日)、年末年始

 

<おまけ>

「自由学園明日館」のホームページには、「ライトの弟子建築」が紹介されています。

http://www.jiyu.jp/link/kenchiku.html

 

ここで初めて知ったのが、遠藤新設計の「豊年虫」(笹屋ホテル内にある2003年有形文化財に登録された数奇屋造り8室)。

こんな宿泊施設にも、いつか泊まってみた~い!

http://www.hohnen-mushi.jp/

 

それにしても、池袋って、本当になんでもありです。。

面白いところを開拓したら、またお知らせしますね。

 

(by りーたん)

 

 


3 Comments

  1. sanae

    フランク・ロイド・ライトの建築は素敵ですね。この建物、行ってみたいと思っていました。ゆっくり時間をとって見に行こうと思います!

  2. りーたん

    時間がないと、なかなか足を向けない場所ですが、行ったら「来てよかった」と思える場所ですよ。ガイドつきがオススメです。ぜひ!

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