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30年を生きる、西印度諸島海島綿(sea island cotton)の哲学

towel
風呂上りにタオルを使っていて、ふと気づきました。。

私は、このタオルを約30年も使い続けているのです。
タオルにご興味のある方なら、この紋様でおわかりかと思います。

 

 

西印度諸島海島綿[sea island cotton]と呼ばれる、繊維の宝石。英王室御用達の海島綿タオルには、かつてこの模様しか許されていませんでした。(今は違うのもあるみたいです) 私がこれを買ったのは20代の頃です。

そんな若い子が?!とお思いでしょうが、当時私は百貨店の法人外商部に勤めていて。熱心に商品説明をする内野タオル(海島綿の販売会社)営業のおじさんのセールストークに感心しちゃったのです。

あるじゃないですか、お給料を貰い始めると親にちょっとプレゼントとかしたくなる気持ち・・それです。
バスタオルの値段は、5000円。当時のバスタオルの価格からするとかなり高価で、だからプレゼント向きでした。

私は自分にも1枚買い、親へのクリスマスプレゼントにしました。

でも年末に帰省してみると、バスタオルは不評で、ちょっとがっかり。
「・・高級過ぎるのかねえ、‶なんだ?! 固いな”ってお父さんが言うのよ・・」

「何よ、バスタオルはゴシゴシこする物じゃなくて、肌にかけて水を吸わせるのが本当の使い方なんだよ! もぉ~わかってないなあ・・エリザベス女王だって007のジェームズボンドだってコレを使っているんだから!」

 

悔しまぎれの私は、タオル屋さんの受け売りで両親を田舎者扱いにしました。その娘だから自分もまた立派な田舎者なのに、まったくもぅです。

でも、私も気づいていました、このタオルの肌触りが固いこと。
お風呂上りにふかふかのタオルに包まれるのは、生きている幸せの1つです。「失敗だった」とその時は思いました。
タオルの評価が変わったのは、5年か6年経った頃です。もったいながりの母親は、不評のバスタオルを「高かったから」と使い続けて、ある日その肌ざわりが柔らかくなっていることに驚いたのだそうです。
「お前が言った通りだったねえ! このタオルはどんどん柔らかくなる。普通のタオルと反対なんだね。薄手で乾きやすいし、薄い割には生地がしっかりしている・・この綿は大した物だわ」
「・・・・へへへ・・・」

・・実は、私も親の子で、もったいないからとバスタオルを使い続けていました。
そして、年々柔らかくなるタオルに「へ~・・@@」と感心していたのです。

私の実家は呉服問屋。生地を扱う商売柄、母親は西印度諸島海島綿の価値をきっちり見極めていました。贈ってから何年も経って喜ばれたプレゼントになりました。
その時から、すでに四半世紀。 私はまだ海島綿のバスタオルを使い続けています。

確かに物持ちはしつこい方です。 気に入ると延々使います。ですが、それにしても30年。冒頭の写真は「30年前に買った、結構ヘビロテのバスタオル」。まだまだ使えます。

 

英国人は、上質な物を永く使うことに価値を置く人達だと言われます。

1枚のバスタオルが、彼らの哲学を実感させてくれました。
内野タオルは、現在も西印度諸島海島綿のバスタオルを売り続けています。

当時5000円だった価格は、30年経って16,200円(税込)になりました。

 

もう一枚買ったら、私よりもタオルの方が長生きしそうです。

 

(奥岡 伸子)

10 Comments

  1. kaoru

    いや~、久々の力作、というか秀作❤
    いい話ですね~。
    30年経ってどんどんよくなるタオル。
    始めは硬かったのによくぞ使い続けてくれましたねお母さん。
    ちなみにうちの母も若いころ呉服屋に勤めていたって
    関係ないけど、なんだか親近感・・・。

  2. nobuko

    kaoru さん いらっさいませ~♪

    えへへ、いい話と言って貰えると嬉しいです。
    ビンボー症な話でもあるんですケド。

    >ちなみにうちの母も若いころ呉服屋に勤めていたって

    わあ、それは親近感~。

    呉服屋に勤めると着物の知識やしきたりに詳しくなるので、
    嫁入り前の勤め先としては、人気があったみたいです。

  3. nobuko

    YUKOさん タオル、連れて来ましたとも。

    30年の間に何かこぼして汚したこともあるんですけど、
    繊維がしっかりしてるので、漂白してもへたらない。

    もうね、30年というと配偶者より長いツレです。

  4. りーたん

    「バスタオル買わねば」と思っていたところだったので
    まさにタイムリーな話題でした。
    こんなに優秀なタオルがあったのね。
    へたらないタオルはいい。欲しい!
    が、しかし、そう簡単に揃えられないお値段ですね~

  5. nobuko

    りーたんさん いらっしゃいませ。 タオル買おうとお思いなんですね。

    >が、しかし、そう簡単に揃えられないお値段ですね~

    す、すみません! 値段間違えました!!!!

    10,800円と書いたのは、「フェイスタオル」の価格でした。
    バスタオル、16,200円です。きゃー!

    海島綿、今は日本が作った海島綿協会がその生産を支える、まさに天然記念物みたいなコットンになってます。今は、なんと今治で織られているみたい。

    30年経って、事情も変わったのですねえ・・

  6. けい

    今治ってタオルの産地ですよね
    16,200円と聞くとぎぇーって思いますが
    30年経っても現役で使いやすいだなんて
    それが本当のイイモノを大切に使うってことなのね
    誰かプレゼントしてくれないかしら
    30年使うならそろそろほしい…(^_^;)

  7. nobuko

    けいさん いらっしゃいませ~ん。

    今治、しまなみ海道の四国側起点ですね。
    8月に行ってみたら、タオリ美術館がありました。

    >16,200円と聞くとぎぇーって思いますが

    いやもう、私もぎゃー!と言いました。

    今じゃ買えません(;;)

  8. ガキちゃん

    上質な物を永く使う事の一例がタオルという事がすごい‼️使い続けるうちに使い心地が良くなって30年だなんて驚きです。英国王室御用達の上質なタオルは消耗品ではないのですね。

  9. nobuko

    あ、ガキちゃんいらっしゃ~い♪

    >30年だなんて驚きです。

    そーですよね。 自分の捨てなさにも呆れましたが、タオルの根性に感動。
    王室の方はそんなに延々使い続けないだろうから、他の用途に回して使うんだろうなあと思いました。

    私の場合、タオルは「ゴワついたら捨てる」が判断基準だったので、うかうか使い続けたんだと思います。

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