グルメ

春菊のジェノベーゼ風

人間、気力がないときはなんにも食べる気がしなくなる……と思うのだが、幸いなことに私にはそういう経験があんまりない。

はるか昔、失恋の悲しみはヤケ食いで忘れることができた。

仕事の失敗はおいしいもんを食べることで乗り越えた。

風邪で熱のあるときですら、3食きっちり食べている。

原稿の締め切りでお尻に火がついているときに限って、やたら手間暇のかかる料理を作りたくなるという面倒な性分も持ち合わせている。

そして飲むことが好きだから、夕飯はお酒とメニューを合わせるのが、日常となった。

そのために、たっぷんたっぷんの立派なウエストを携行することになったけど、今さらダイエットのために食べたいものを我慢する気はさらさらない。

 

というのも・・・

私の父はけっこうな美食家で、食べもんにうるさい人だった。体型もでっぷりと貫禄があった。それが晩年にはものの味がわからなくなり、みるみると痩せてしまった。食べることが苦痛だ、とまで言った。

その様子を目の当たりして、おいしく食べられているうちが、ハナやなあ〜と思った。

幸いなことに、私はまだ、ハナのなかにいる。

 

人間、加齢が進むと、味を感知する味蕾の数が減少し、味覚が衰えるといわれている。味蕾は生後から増え続け、二十歳くらいで約9000個になるが、60歳くらいから減少しはじめ、80歳では半分以下になってしまうそうだ。

となると、C.J.WOMAN(超熟女)の私たちは、おいしいものを、ちゃんとおいしいと感じて食べられるのも、あとわずかということになる。

 

私はグルメというわけでなく、食べ物に関する記事を多く書いている仕事柄、食べ歩いた先で料理の知識を仕入れたり、取材先で料理のノウハウを教わる機会が多い。

家で食事をする際は、そんな知識をごちゃまぜにしながら料理を作る。まぁ、夕飯はほぼ、酒の肴になるのだけど。

気分によって、かなりの手抜き料理、たまにちょこっと凝った料理。いろいろだけど、レシピの覚え書きをアップしていこうと思う。

 

今回は紹介するのは「春菊のジェノベーゼ風」。先日行ったワインバーで、ヒントを得たメニューだ。

そもそも「ジェノベーゼ」って、北イタリア・リーグリア地方のパスタソース。バジリコ、松の実をすりつぶし、パルメザンかペコリーノチーズを加えて、オリーブオイルで練ったもの。リングイーネにからめて食べるのが本式だ。

バジリコの代わりに春菊、松の実の代わりにゴマのペーストを使ってみた。

春菊を生で作るのと、サッと湯がくのと、2回作ってみたけど、湯がいたほうが滑らかになっておいしいような気がする。

ゴマのペーストを使ったのは、市販されていてお手軽だから。松の実はペーストになったのが売っていないので、すり鉢でするのは大変。上等なフードプロセッサーも持ち合わせていない。それに松の実はけっこうお高いから、ゴマペーストの方が経済的で簡単だ。

 

ざっくりとした作り方をご紹介する。

 

 

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① 春菊1束は茎の部分と葉の部分に分けて、2等分する。

 

 

 

 

 

 

 

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② 鍋に湯をわかし、先に茎の方を投入。1分ほど経ってから、葉の方も加え、サッとゆでる。

 

 

 

 

 

 

 

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③ ゆがいた春菊を水にとって冷やしてから、ざく切りにし、水気をよく絞る。

 

 

 

 

 

 

 

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④ フードプロセッサーまたはミキサーに❸を入れ、オリーブオイルを大さじ3ほどと塩を適量加え、回す。

 

 

 

 

 

⑤ ゴマのペーストを大さじ2〜3ほど加え、さらに回す。

 

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⑥ ❺を器に入れ、粉チーズを加え、混ぜ合わせる。味見をして、足りなければ塩を加える。

 

 

 

 

 

性能のいいフードプロセッサーを持っていれば、材料を全部放り込んで、ガァーと回せばいいと思う。実に簡単だ。

 

ゆでたパスタにあえれば、完成。

 

 

 

 

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パスタはどのタイプでもいいけど、飲んでいるときは、ちょっとくらい時間がたっても、のびる心配のないショートパスタが便利。

 

残ったソースは、いろいろ活用できそうだ。

翌日は、ヤリイカのボイルをあえてみたが、なかなかいけた。

ドライな白ワインにぴったりやったね。

 

 

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ところで春菊は、牛乳以上のカルシウムやミネラルを豊富に含む、栄養価の高い緑黄色野菜。鍋料理で食べることが多いが、これならひと味違った味わいで楽しめる。抗酸化力をもつカロテンの含有はほうれん草以上。カロテンは体内でビタミンAに変わり、油やたんぱく質とともに食べると吸収率が高まる。オリーブオイルと一緒に食べるのは、理にかなっているのである。

また、パルメザンチーズは、細胞の新陳代謝に欠かせないミネラル、亜鉛を含んでいる。味蕾の再生にも効果的なのだ。

 

香りがマイルドなサラダ用の春菊なら、生のままペーストにするのもよさそうだ。

 

(土井ゆう子)

 

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