夫婦・家族

高齢の親が乳ガンになった時、どうする?  -後編-

*83歳の母に乳ガンが見つかった! 話の始めから読む方は 前編 をお読みください。

 

親の病気治療に関する判断を、子どもがするのは難しい。

いくら親子と言っても、人間としては別人。生死に関わる判断を、当人以外の者がしていいとは思えないからだ。

 

母は以前、ガンになったら「切ったり貼ったりしたくない」と言っていた。ガンになったらなったなりで、寿命と思って放っておくと。それは、当時いつわらない本心だったと思う。・・だけど、どうだろう?

 

今回見つかった乳ガンは、初期の比較的小さなものだという。

それでも放っておけば、あちこちへ転移して、最後は多臓器不全になる。その間が何年かわからないけれど、母はその間、生命がカウントダウンしていく毎日を送ることになるのだ。

 

もちろん別に病気が無い人だって、生まれた瞬間から生命はカウントダウンし続けているのだけど、実際「カウンターが回っている」と自覚して過ごすのは、別の感覚だと思う。

 

結局、母は切除手術を受ける事を選択した。子どもたちもそれがいいと思った。

医師は全摘を勧めたけれど、姉と私は負担の軽い部分切除がいいのではと思ったので、医療関係の友人にスリスリとご意見を聞いてみた。 すると・・

 

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 医者が「切れる」と判断したなら、全部切った方が楽じゃないかと言うのだ。

友人は鍼灸・マッサージ師で、以前は実業団のスポーツドクターをやっていた。現在は大学や専門学校で講師をしている「現場」と「理論」の両刀使い。看護やリハビリの現場にいるので患者の生の声に詳しく、彼女の意見はいつだって、とても参考になるのである。でも、全摘? え~‥

 

「でもさぁ・・全部切ることは大変なんじゃなーい?」

「だって、全摘であとは放射線治療要らないんでしょ?

放射線は何週間も毎日だから、高齢者には通院も負担よ」

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ちなみに彼女も数年前、乳ガンになり治療をした経験がある。だからこれは体験を含んでいる。放射線治療をした部位は、皮が「ぺろ~ん」と剥けるのだそうだ。

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放射線治療は、痛くも熱くもなく、体力の衰えた高齢者には適した治療法だ*と言われているではないか? 部分切除+放射線治療がベストではないの?

※参照:公益社団法人日本放射線腫瘍学会「放射線治療法とは?」

 

 「皮がむけると、何か悪いことがあるの?」

「皮膚がピンクのツルンとした皮になって、汗をかかない」

「汗かかないって、何が悪いの?」

「夏とか、その部分が熱を持った感じになる」

 

全摘は外科手術だから、切ってしまえば化膿しないかぎりそれでおしまい。彼女がリハビリ現場で会う全摘した高齢の患者さん達も、「切ってサバサバした」と言う人が多いと教えてくれた。

 

「母さん、83歳で30㎏台だよ?」

「それ以上の歳の人、いっぱいいるよ」

「・・・うーん・・・」

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結局、友人の「ぺろ~ん」が決め手となり、母は全摘手術を受けることになった。恐るべし、ぺろ~んパワー(何のこっちゃ‥)。

 

それからは、まあ早かった。9月の上旬に入院した母は、入院2日目に手術を受けた。手術は無事終わり、センチメンタルリンパ節、もとい、センチネルリンパ節には、目出度く転移も見つからず、経過を観察をして、あっという間に退院しちゃったのである。全部で3日しか入院しなかった。

術後は切除した部位に水が溜まる事もなく、腕が上がらないという支障も何もないらしい。

 

そして、先日10カ月めの検診に行き、無事「異常なし」と言われたそうだ。

相変わらず不整脈はあるし、体重は30㎏台だし、膝が痛いとか転んだとか言っているけど、ともかく今やガンはなく、母は元気に老いている。

 

この先、何年かした時に、またガンが見つかったら母はどうするだろう?

「もういいよ」って言うだろうか?

次はカウントダウンタイマーを止めないだろうか?

それは「その時」が実際に来ないと、決められないことなのだと思う。

(奥岡 伸子)

 


10 Comments

  1. nobuko

    YUKOさん、ありがとうございます!

    >でも、よかったですよね!!

    はい。よかったです。 

    正直、最初に電話を受けた時は、83歳の人間のガンを切る必要はないだろう?! というのが率直な気持ちでしたが。

    実際その場になると‥、早期発見でしたし。「取っちゃえば無しになるガン」を、放っておくのもうっとおしい気分になりますね。

    変な例えですが、建て替える予定のお風呂場にカビが生えたら、やっぱチョチョッとカビキラーしたくなるよねみたいな気分というか。

    これが進んだガンだったら、また選択は違ったと思います。

  2. ひれり

    お母様、お元気になられて本当によかったですね。
    癌、一昔前は 途方に暮れて「告知しない」病気でした。
    今は告知をして 患者さんを中心に家族、友人、医療従事者を含めた沢山の人でチームを組んで対峙して、やっつけちゃう病気になりました。
    治療に選択肢があるのもすごい!
    医療従事者の方がサラッと仰ることに 私のような素人には 多少の違和感があるかもしれないけれど、
    あっけらかんとした口調が救いになることもあるような気がします。
    「大したことないじゃん、あんな風に気軽に仰るのだもの・・」って。
    お姉様の言い間違いもすんばらしい、
    ナチュラルキラーセルが免疫力をあげるのはよく言われることですからね。「笑う」ことは名医です!
    私 もう「センチメンタル」以外に覚えられない(笑)
    親の病気は自分のことではないから辛いこともありますよね?
    「子供の勉強」も自分のことじゃないから辛いです(自分のことは棚にあげてね・笑)

  3. nobuko

    (^^)ひれりさん いらっしゃ~い♪
     おつきあいありがとうございます!

    >癌、一昔前は 途方に暮れて「告知しない」病気でした。

    ガン=不治の病だった頃、告知しない病だった時代を憶えてます。時代は進んだよね。

    >あっけらかんとした口調が救いになることもあるような気がします。

    ホントです。

    基本的に医療者は、「病気は治す」立場なんですよね。
    ガンは初期オッケー、体力オッケー、じゃ治しましょ!って感じ。

    以前は、高齢者に無用な手術しなくてもという気持ちが強かったのですが、今の母をみていると、ガンの進行の不安がないこともクオリティ・オブ・ライフの1つだなって思います。

    >私 もう「センチメンタル」以外に覚えられない(笑)

    あのですね、ひれりさん!
    アタシには意外と良かったです「センチメンタルリンパ節」。一発で憶えました。

    始めから「センチネルリンパ節」と聞いてたら、単語自体を憶えられなかったかもしれません。

    言うたびに頭の隅でイヨちゃんが踊るのは困るけど・・

  4. りーたん

    なーるほど~~!!
    やはり、体験者のお話は説得力あります。
    確かにそうかもしれないなぁ~と、いちいち納得しました。

    今は長寿だから、不安要素は可能なら断ち切ったほうがいいのかもしれないですね。
    「長生きしたくない、80歳で十分」と言っている人も、その時になれば
    「いやもうちょっと」と思うみたいですからね~

    かくいう私も、子宮全摘手術をして、結果オーライなのでした。
    母にも、この記事を読んで聞かせまーす。

  5. nobuko

    (^^)りーたんさん、いらっしゃいまほ~♪

    わあー! りーたんさんは子宮全摘なのですか。本当に、何とガン患者の多いことでしょう。
    どうぞどうぞお平らに、お互いもうガンにはつかまらないで行きましょう!

    >「長生きしたくない、80歳で十分」と言っている人も、その時になれば
    「いやもうちょっと」と思うみたいですからね~

    人間、1回しか生きないですもんね。 80歳も生きれば十分、いつ死んでもいいわ!と言っていても、「でもまあ当面は死なないだろ」と人は思っているのだと思います。

    そこへ「カウントダウン始まってます」と言われると・・。長生きしたいというよりも、カウントダウンのタイマーを止めたい気になるものだと思いました。

    >母にも、この記事を読んで聞かせまーす。

    100歳以上人口が4万人を超え、80歳でエベレストに登る人が出る時代です。病気をさっさと直して元気に老いるってのもアリだと思いました。ハイ。

  6. り~~ぷ

    こんにちは!

    義母86歳、母78歳、ほんと参考になりました。

    二人とも加齢による体の不調や体力の衰えはあるものの、特に持病もなく元気に老いている状態^^

    でももしも手術なんて事態になったら、それは出来ればやめよーよ!というのが常々夫がいう事。
    でも今回この記事読んでよかったなぁ~~
    もしもの時に絶対に思い出すわ。

    放射線で皮がぺろ~~~ん。
    夫は経験者だし、わたしも目撃者。
    それはそれは痛々しいの(@_@;)
    夫はそれで命を救われたけど、退院後ぺろ~~ん部分のお薬を塗ったガーゼ交換してた時の気持ちを思い出しました。

    それにわたしはばっさり切腹してさっさと直した経験者でもある。

    自分のことだと割り切って決断できることも、親のことだとそれも高齢になってだと判断に迷う事ってたくさんある。

    >それは「その時」が実際に来ないと、決められないことなのだと思う。

    うん、そのとおり!
    だよね~うん!

    しかし今後イヨちゃんは頭の中で踊り続けるわ・・・・・

  7. ボニボニ

    きゃ~!す、すみません! 〆切抱えてバタバタしてるうちに、お客様でした!

    ●り~~ぷちゃん いらっしゃいませー!!
    お茶もお出ししませんで すみませんっ!!

    >義母86歳、母78歳、ほんと参考になりました。

    皆様 本当に長生きになりましたよね。

    高齢化社会の拡大とともに、高齢で元気な人も増えました!今じゃ元気な90歳なんかうじゃうじゃいるんです。

    >でも今回この記事読んでよかったなぁ~~
    >もしもの時に絶対に思い出すわ。

    よろしくお願いします。

    ・・って言うのも変ですが(^^;)

    私自身、「そんな無理やめよ~よ」の立場だったので、今回は考え直させられたと思います。

    >夫は経験者だし、わたしも目撃者。
    >それはそれは痛々しいの(@_@;)

    ああああ 昔旦那様の闘病に添われたことがありましたね。暑い暑い夏でした。治って本当に良かったですね。

    >自分のことだと割り切って決断できることも、親のことだとそれも高齢になってだと判断に迷う事ってたくさんある。

    ホンットーにそうなんです(><)

    今回の我が家ケースは、きっといろいろ幸運でもあったのですけれど、今の状況を考えると、あの時子どもの方が先に諦めなくて良かったと思います。

    >しかし今後イヨちゃんは頭の中で踊り続けるわ・・・・・

    踊り続けるでしょおお? 

    横文字がまったく頭に入らないくせに、いっぺんで刻印されちゃいました。イヨちゃん恐るべし。

  8. ペロン

    「ペローン」と言ったことすら気づいていない本人です。お母様も姉上もお元気そうで何よりです。
    ボニボニさんの漫画はいつも最高に面白い!
    ペロンの発言は体験談で事実ではありますが、以後発言には気をつけたい(?)と反省しております。まさか、ペローンが、そんなに衝撃を与えるとは・・考えもしませんでした。
    ついでに付け加えましょうね~(沖縄風)
    腫瘍が大きいと全摘でも放射線が必要になりますし、「ペローン」にはステロイド軟こうがよく効きました。

  9. nobuko

    あーっ! びっくり! ペロンちゃんが来てる~!!

    いや~ん、もうここ覗く人いないかなと思って
    見回りサボってました。すみませんっ!!

    >「ペローン」と言ったことすら気づいていない本人です。

    まぢすかっ?!私は、その臨場感のある擬音に感動して、眼をみはっていましたのに。

    >以後発言には気をつけたい(?)と反省しております。

    いやいやいや 逆に有難かったです。

    放射線治療について調べても、そういう臨場感のある患者目線の不具合って、あまり記述されないんですよね。

    病気を治す事が医療の目的なのだから、無理もないと思うのですが、でも当事者や家族とてしは「そこ」が意思決定のポイントだったりするんだから。

    >腫瘍が大きいと全摘でも放射線が必要になりますし、

    そうっすね。

    母の場合は初期だったからということはあります。

    でも意見を聞く前は、部分切除の方が楽だよね~お医者さんにそう言おっかーとおねいちゃんと話してたんですから。

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