夫婦・家族

妻からの離婚劇 「夫に隠し子がいたんです!」 回答1

<相談>

夫に愛人と隠し子がいることを知りながら、仮面夫婦を演じてきました。「自分らしくありたい」と考え、ようやく離婚を切り出したものの、夫は「離婚はしない」の一点張りです。一刻も早く別れたいのですが、どうしたら有利な条件で夫と離婚することができますか。

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<回答1>

いまは、本当に人生が長くなりました。一昔前なら、仮面夫婦を演じきることのできた結婚生活ですが、長寿命の日本は、婚姻年数がとても長くなり「これ以上偽りの生活はできない」と、「仮面夫婦」を解消し、熟年離婚を選択する妻も増えているようです。

自分を偽り続けることで、体調を崩したり、心の病を患う人もいます。美佐子さんも「仮面夫婦」には適応できないタイプだったのでしょう。愛人や隠し子の存在を知りつつ、何年もの間、よく忍耐し我慢を続けてきたと思います。

年を重ねるほど、生活の大きな変化に抵抗を感じるものですが、残りの人生を考え、自分らしい生き方をしようと離婚を選択したのは、勇気ある決断だったと思います。

 

美佐子さんは長い間の心身的な苦労があったとはいえ、離婚条件については、まだ救いのあるケースです。

 

◎まず、子どもが成人し、独立していて、養育の必要がないこと。

◎子どもたちが母親に協力的で、物心ともに助けとなる存在であること。

◎夫が隠し子の存在を認めているため「不貞」が動かぬ証拠であること。

◎「仮面夫婦」の間にへそくりを作り、妻名義の貯金があること。

◎体調が回復し、いま現在、健康であること。

◎離婚時の厚生年金分割制度の対象者であること。

など、美佐子さんにとって有利な条件が揃っています。

 

ですが、相手の同意が得られなければ、スムーズな協議離婚はできません。

 

往々にして、大手企業役員などの肩書きを持つ会社員は、体面や見栄を重視する傾向にあります。家庭内の問題は周囲に知られたくない。とくに定年までは波風立てずに穏便に済ませておきたい、という心理が働くようです。

 

話し合っても、夫が離婚を認めない場合は、「離婚調停」に持ち込むしかありません。互いに条件を出し合い、調停委員が審査します。が、ここでも夫は離婚しないと言い張るでしょう。双方で主張しあって解決できなければ、調停は不成立となり、裁判へと進みます。

 

裁判は、判決を下すための証拠が必要になります。

 

法律で定められた離婚原因は以下の5つ。

 

1 不貞を働いた場合

2 悪意の遺棄があったとき

3 3年以上の生死不明

4 治る見込みのない重度の精神疾患

5 その他、婚姻を継続しがたい重大な事由がある場合

 

これらに相当するかどうかが判断基準となり、証拠調べが行われ、裁判官が判決を下します。

美佐子さんのケースは、1の「配偶者が不貞を働いた場合」に該当します。(隠し子の存在が証拠)

 

ただし、裁判離婚にまで進展するのはレアなケースです。体面を重んじるご主人が、公開での裁判を望まなければ、調停の段階で妥協する可能性も大きいです。

 

美佐子さんは、財産分与と慰謝料が請求できます。慰謝料は夫だけでなく、愛人にも請求する権利があります。時効は財産分与が2年、慰謝料が3年なので注意してください。

 

また、美佐子さんはサラリーマンの妻で専業主婦です。

2007年4月に施行された「年金分割制度」が適用されます。これは施行当時、「専業主婦が離婚しやすくなった」と騒がれた、離婚時の厚生年金分割制度のことです。

 

妻が第3号被保険者の場合は、離婚の際に、婚姻期間にかかる夫の厚生年金記録を夫の合意なしに1/2に強制分割してもらうことが出来ます。(申請が必要)。ただし、夫の合意が不要なのは、平成20年4月1日以降の婚姻期間について。それ以前の婚姻期間分については、夫と合意をして按分割合を決めます。

美佐子さんは婚姻年数が長いうえに、夫の年金額も低くはないはずです。離婚してすぐには受け取れませんが、美佐子さんが支給年齢となったときから給付されます(夫の支給年齢ではありません)。年金は加入期間やボーナス、給料に応じて変動するので、金額は個人によって異なります。詳細は、社会保険庁の窓口に問い合わせを。50歳以上なら見込額を試算してもらえます。

 

相続について。

隠し子(非嫡出子)は、夫の愛人の戸籍に入っていますが、夫が認知しているので、父親との親子関係は法的に認められています。ただし、相続においては、同列ではなく、隠し子は、嫡出子の2分の1が相続分となります。といっても、遺言によって内容が変わる場合があるので、遺産については、離婚時に決めておくのが無難。明確な文書にして「公正証書」を作成しておくといいでしょう。

 

いずれにしても、美佐子さんに非はありません。夫への愛情は薄かったものの、これまで、妻として家庭を守り、子ども二人を立派に育てあげました。

夫への未練がなく、今後一人で生きていく覚悟があるのなら、強い意志をもって「離婚」に臨んでください。すべてが解決するまでにはまだ時間がかかりますが、その先には自由と希望が待っています。

これからは自分のため、まだまだ続く人生を自分らしく生きていってほしいと思います。

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美佐子さんの場合は、関係の修復はもはや難しいところまできていること、別れたいという固い決意があったことから、離婚に向けてのアドバイスとなりました。

 

離婚カウンセラーの仕事は、相談者が幸せになる道筋を一緒に考え、メンタル面のサポートをしながら、適切なアドバイスをしていきます。コーチングとも精神科医とも異なる、相談者に寄りそい一緒に考える伴走者のような存在です。

 

法律の専門家(弁護士)ではないので、目安は伝えられますが、個々の詳細な話は出来ません(非弁行為となります)。相談者に必要だと判断したとき、弁護士や探偵、行政書士など関連業にバトンタッチします。

 

離婚というと、弁護士への依頼が頭に浮かびがちですが、最初に弁護士に依頼すると、離婚への事務手続きとなってしまい、心が揺れているときは、思わぬ方向に進んでしまう場合があります。病気の場合は、まず治療に専念しましょう。

 

専門家に依頼する際は、「病院診察→離婚カウンセラー→弁護士」という順序で依頼することをお勧めします。

 

次回は、美佐子さんの離婚後の生活に関する情報を書きます。回答2を読む

(渡辺里佳)

 


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