カルチャー

SPACのマハーバーラタ ~ナラ王の冒険~ が素晴らしい!

  • 2016/9/25
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SPACという演劇集団の舞台が素晴らしいと聞き、奈良・平城京跡で催された『マハーバーラタ~ナラ王の物語~』を観に行きました。

ホントは、直島へ行くつもりだったのです。本サイトのリカさんの記事で読んだ「直島のパオ」に泊まってみたくて。友人が直島へ行きたいと言ったのを幸い、「パオに泊まらない?」と計画を練り始めたところ、突然彼女が「来週奈良で『マハーバーラタ』を演るので、是非とも!それを見たい」と言い出しました。なんでも静岡で初演を観て、機会があればもう一度観たいとハゲシク思っていたのだそうです。

だけど『マハーバーラタ』と言えばインドの大叙事詩。それを‥平城京跡で? 円形劇場を作って? 話を聞いても想像がつかな過ぎて、なんと「私も行く!」と言ってしまいました。そういう事に腰の重い方なのに。

思えばこの時、「偶然に呼ばれ」たのかもしれません。

友人にチケットを取ってもらい、大急ぎで宿を探して、行って来ました奈良・平城京。予報はバリバリの雨でしたが、金運・出世運は皆無でも、天気運だけはある私。野外なのに劇は「雨天決行」らしいので、ぬれネズミ観劇も良しと腹をくくりました。

 

 

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イケるんじゃないのコレ?という空を見ながら、平城京跡を歩きます。目指す劇場は、本当に、平城京跡の野原の真ん中に建てられていました。

 

野外劇場はドーナツ状に舞台があり、真ん中に観客が座るという「逆円形劇場」。舞台の向こうに能舞台の「影向(ようごう)の松」を思わせる大樹があって、ここが正面という感じを出しています。でも、360度の舞台。つい皆キョロキョロと周囲を見回してしまいます。

 

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パーカッションピットとでも言いたい演奏用サブステージを見ると、さまざまな国の楽器が並んで、何だか楽しそうです。そうしているうちに夕闇も深くなり、『マハーバーラタ~ナラ王の物語~』が開宴しました。「開演」の誤植ではありません。「開宴」と呼びたい様な内容だったのです。

 

※舞台は撮影ができませんので、SPAC様よりお写真を拝借しました。

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マハーバーラタ ~ナラ王の物語~ [写真撮影:日置真光]

 

私は何を見たのだろう? と思いました。

さまざまな要素が物凄く細かいパーツで組み合わされて、大きなパッチワークになったと言うか。きれいな絵巻物を眼の前に見た気がしました。インドの大叙事詩を題材にしながら、日本的なあれこれが次々と出てくるのです。能、狂言、花札、文楽、歌舞伎、ねぷた、浮世絵‥。

演出の宮城聰さんによると、“もしも『マハーバーラタ』が日本に伝播していたら‥”という仮定から創り出された舞台だそうですが、確かに出典はインドでも、日本で描かれるとこうなるのだと思いました。

そして日本は、インドから、東南アジアから、ヨーロッパから、さらに遠くアフリカから、様々な文化が渡って来たファーイーストなのだと感じます。

アフリカンドラム、ガムラン、ワヤン・クリ、ケチャ‥、すべてここまでたどり着いたのだと、パーカッションに浮き立てられながら感じ入りました。

こう書くと難しい劇に思われそうですが、内容は分かりやすく、気取らない楽しさに満ちています。子どもを連れた方がいたのですが、おどけたセリフに笑っていました。

俳優がセリフを言うシーンは少なく、演ずる人と語りが文楽のように分かれているのですが、その語りがまた朗々と素晴らしく、自然の中で最高の楽器は人の声かも知れないと思いました。

野外の円形劇場という舞台も素敵でした。心配していた雨も降らず、神々の行列が舞台をしずしずと通るまさにその瞬間、叢雲を分けて月が出た時には! もう鳥肌が立ちました。正直、観る前は前衛ミュージカルのようなものかと思っていたのですが、とんでもない。

それは、一夜の祝祭でした。

観終わった後、私たちは楽しくお酒を呑みかわしながら(もちろん飲む)、あれがこれがと今夜見た夢の話を延々し続けたのでした。

もしも、今後どこかで『マハーバーラタ』の再演があったら、観ることをお勧めします。絶対、楽しいです。

 

 

静岡県舞台芸術センター(Shizuoka Performing Arts Center:SPAC )

専用の劇場や稽古場を拠点に俳優や制作スタッフが活動する、日本で初めての公立文化事業集団です。

 

(奥岡伸子)

4 Comments

  1. YUKO

    奥岡さま
    「金運・出世運は皆無でも、天気運だけはある私。」
    いえいえ、そんなことは・・・。
    わたしは、仕事のときはだいたい晴れますが、プライベートで遊ぼうとすると雨が降ったり、海が荒れたりします。

    ところで逆円形劇場というのは、ちょっと想像がつかないのですが、平城京が舞台というのがドラマチックですよね。マハーバーラタの再演があれば、行ってみたいと思いますが、劇場がどこになるのかで、雰囲気も異なりそうですね。

  2. nobuko

    yukoさんいらっしゃいませー!

    >わたしは、仕事のときはだいたい晴れますが、プライベートで遊ぼうとすると雨が降ったり

    本当でしたね(^^;)

    仕事に全天気運をつぎ込んでいるのでしょう。
    見上げたプロ根性です。

    逆円形劇場、1m半位の高さに、ドーナツ状にぐるりとステージがあって、俳優がそこを一周駆け回ったりするんですよ。観客は振り返って見ると言う・・。

    初演はまた違う舞台で、それも素晴らしかったようです。
    舞台デザインは、数々の賞を獲っている建築家の木津潤平氏で、その辺も見どころだと思います。

  3. kaoru

    直島に行くはずが、平城京跡で不思議舞台って
    nobukoさんっぽいですね~。
    ウチの長男は遅い夏休みを直島・豊島~倉敷~広島で
    一人旅。安宿に泊って美術館めぐりや居酒屋を満喫したみたい。
    広島は帰りの飛行場だけだけど。
    マハーバーラタ、ご友人のおかげで奇跡の出会いがあったようですね!

  4. nobuko

    kaoru さん、いらっしゃいませ~!
    今回は直島から平城京へ、ガッと方向転換しちゃいました。

    でもね、その時点で直島のパオ、10月の最期の2日しか開いてませんでした。(冬季は営業しないので、泊まれるのは11月まで)
    でもまあ、パオは逃げない!とマハーバーラタにしちゃいました。

    >ウチの長男は遅い夏休みを直島・豊島~倉敷~広島で
    一人旅。

    わあ!いい旅でしたね。男一人の島旅かあ、いいなあ~!青春だっ!!

    この歳になると若い時にする旅は値千金だとわかってきます。
    息子クン、素敵な青春していますね。

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