『文庫本葉書』に出会った時、なんと面白いことを考えるのだろうと感激した。
パッケージに、文章が書いてある。たった一行が書かれたパッケージもあるし、数行書かれたものもある。中にはその文章が書かれた文庫本が入っているのだけれど、ステープラーで留められているのでどんな本かは判らない。パッケージの反対面は葉書の通信面になっていて、215円切手を貼れば「ゆうメール」として郵送できる。
『文庫本葉書』|¥700【税抜】(企画発売元 book pick orchestra)
開封して親書を入れちゃだめです、あくまでそのまま郵送する。だから送る人は、自分が相手にどんな本を送るのかわからないのだ。これはシビれる、上手いなあ・・・
早速文章を吟味して。あの人にはコレ、この人にはコレ、と4冊も買ってしまった。だってこれは、選ぶのがもう~、最高に面白いのだ!
ヒントになる文章の切り取り方が絶妙だ。
内容の輪郭をイメージさせながらも、「この本」と特定するようなワードはさりげなく避けてあるので、選ぶ方はあれこれと想像をたくましくしてしまう。
「長い罰ゲームだったね」と書かれたものがあった。
そんな一文がピタリとはまるのは、いったいどんな物語だろう? 怖い話だと困るので買わなかったけれど(ヘタレ)、寝床に入ってからも「・・中はどんな本だったんだろう?」と、モンモン想像してしまった。(次回行ったらきっと買っちゃうなと思っていたけれど、次に行った時には売れたのか見当たらず、モンモン度合いがアップする羽目に‥)
その日買った一冊は、友達に郵送した。葉書に書いた通信文はと言うと、
「中に何が入っていたか教えてください」。
黒ヤギさんかっ!私は?!
『文庫本葉書』を置いていた店は、広島市内の『RAEDAN DEAT』という本屋さん。
レトロなビルの2階にあるお店は居心地が良くて、じっくり『文庫本葉書』を選んでいる時間自体が、とても楽しい。
〒730-0802 広島県広島市中区本川町2-6-10 和田ビル203
広島電鉄 本川町電停 徒歩1分 11:00-19:00 火曜日お休み
TEL / FAX : 082-961-4545
『文庫本葉書』の中身は、既刊の文庫本、つまり古書だ。まだ店頭にある本を、ネットの中古価格で買うことも多い現在、わざわざ¥700を出して古本を買う人は少ないように思う。
でもだからこそ、この本のコンセプトが嬉しい。『文庫本葉書』は買いたくなる。「古本」ではなく「珠玉の一文」を、とても魅力的に紹介するシステムだ。
個人的には、「葉書で送る」というのがまたストライキング。「ある日、ポストに文章が届く」というのが素晴らしいと思う。実は『文庫本葉書』には、カードとして手渡せるタイプもあるのだけれど、・・やっぱ葉書が楽しい。
この商品を取扱っている書店は、『READAN DEAT』の他に全国で10軒ほど。東京に3店舗、関東に5店舗、仙台・秋田・会津若松・京都・熊本・大分など、各地にある。
イベント販売することもある様なので、機会があればチェックしてみては?
文章を前に、どんな本かと想像する時間は絶対、楽しい。
『文庫本葉書』の取り扱い店を知りたい場合は⇒こちら
(奥岡伸子)
ふふ、
「うわぁ~!」と興味津々読み進めた最後に 伸子さんの記名を見て、とても嬉しくなりました。
「やっぱり伸ちゃんやな!」と確信してた自分を褒めたい気もする(爆)
なんて素敵なコンセプトなんざんしょ?
いくとおりも作れますね、唯一無二なんだ。
古本ちゃんも沢山の人に大事に手にとってもらえて喜んでると思う。
人生の時間は無限ではないものね、一人で見つける世界に限りはあってもお友達の時間を共有すれば無限に広がります。
「一筆書き」を書いた方が見知らぬ誰かを思い、メッセージの前に立つ人が大事な誰かを思い、受け取った人が選んでくれた誰かを思い、思わずニマニマしちゃう珠玉の連鎖です。
色々な「ツボ」が幸せだな、私たちは永遠の「探検ガール」
これからも果てない「ツボ探し」ご一緒させて下さい(笑)
追伸、
1人で見知らぬ街に送り出すのは多少心配ではあったが、素敵な街でちっとも変わらず、元気でご機嫌ようお散歩しておるね。
よかった、よかった。私も頑張ろう!
わあ、ひれりさんいらっしゃいまーし!
うふふ、お好きでしょう? こういうの。
>一人で見つける世界に限りはあってもお友達の時間を共有すれば無限に広がります。
本当、本当。
今、年間に発行される刊行物は6万5千点ほど。
(数年前まで8万点と言っていたから、随分減りました)
その多くは数週間とか、ほんの少しの時間書店に並ぶだけで消えてしまう。出会えないままの本は、たーくさんあると思います。
こんな形で出逢えるのは、とってもいい。
誰かに送れるというのがまたいい。
送る相手を決めて選ぶと、また面白いです。
「きっとこの本は、あの人好きだな」と見当をつけても、
あまりドンピシャだと、もう読んでいる本かもしれないでしょ?
どうせなら、未読のものを贈りたいなどと思って悩んだりします。
見知らぬ街に住む私を心配してくれてありがとう。
なんとかキョロキョロやっています。
今の時代は、苦労して作られた本があっという間に、AMAZONあたりで、中古になって、1円とかの値付けがされる時代です。
ここには豊かな時間が流れていますねぇ〜。
YUKOさん ねねね! 本当にそうですよね!
>苦労して作られた本があっという間に、AMAZONあたりで、中古になって、1円とかの値付けがされる
本当に「あっという間」ですよね(;;)
一所懸命作って、なかなか良いのではと思った本があっさり店頭から消えると、トホホと思います。
これが心血注いだ小説とかなら、作家さんはもっと切ないだろうなあ。
>ここには豊かな時間が流れていますねぇ〜。
そうですよねえ~
本の中にはいろんな世界が詰まっていますよね。
そのドキドキ感。
ページをめくらずに想像力をふくらませて
メッセージと中身の違いにドキドキしたり
自分に送りたいプレゼントかも!
けいさん いらっさーい♪
>自分に送りたいプレゼントかも!
本当ですね。
限られた文であれこれ想像すると、答えを知りたくなる。
買って「これか~!」と言いたくなる危険な商品です。
こんな素敵な投稿があったのに気づかないなんて、
その頃確かに私はバタバタだったけど。
それにしても誰かを思って中身のわからない本を選ぶって
贅沢な時間ですよね。広島ならではと言うのは簡単だけど
やっぱり地方都市にはそんなゆるやかな時間が流れている気がする。
あと思ったのは「私なら◯◯の本にどんな一文をつけるかな?」
そんな作業も楽しそうですよね。
るう子さん、いらっしゃいませ~! 読んでくれてありがとうございます。
>誰かを思って中身のわからない本を選ぶって
贅沢な時間ですよね。
はい! かなり面白いです。
「これは多分料理好きな女性のエッセイ。あの人好きかな」
「・・・ああでも、読んだことのある本かも知れない」
という風に、いろいろ考えてしまって。それも面白いです。
>「私なら◯◯の本にどんな一文をつけるかな?」
>そんな作業も楽しそうですよね。
ふふふ、そうですね。
『文庫本葉書』は、本が大好きで、もっと皆に読んでもらいたいと願う人が考えた商品だと思います。あー私だったら、どんな本を選んでどこを抜き出すかな~。
「人生は、できるだけ公正に、全力でやらなくちゃいけないゲームみたいなものなんです。負けたら「なあに」って笑うだけ、勝ったって同じよ」
だったかなあ~。手元に原本がないのでうろ覚えですが・・
ふるーい翻訳で読んだ「あしながおじさん」の一節。
良い本だったなあー。